東京地方裁判所 昭和40年(手ワ)245号 判決
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〔判決理由〕被告サンウエーブマルタンが、昭和三九年一二月一八日整理開始の申立を受け、同日会社財産保全のため、商法第三八条第二項第一項第一号の規定に基づき、同被告主張のような会社債務弁済禁止の保全処分が発せられたことは原告と右被告間に争いがないけれども、右規定による保全処分として会社債務弁済禁止命令がなされていても、会社債権者が会社に対し給付の訴を提起し、債務名義を取得することは禁止されないと解すべきである(最高裁判所昭和三七年三月二三日判決、民集一六巻六〇七頁参照)から、右保全処分あることにより原告の被告サンウエブマルタンに対する本訴請求を排斥することはできない。したがつて、これに反する被告サンウエーブマルタンの抗弁は採用できない。……
そして、約束手形の振出人の支払停止を原因とする満期前の遡求において、手形法第七七条第一項第四号、第四四条第五項により、形式的要件として、振出人に対し手形の支払のための呈示をなし、かつ拒絶証書の作成を要するが、本件の場合は拒絶証書作成義務が免除されているので、支払呈示のみを以て足りるところ、右振出人に対する支払呈示は、振出人の営業所又は住所においてこれをなすべきものであると解するのが相当である。
けだし、本件手形の如く手形面上に支払場所として銀行の営業所が記載されているときは、その営業所を満期における手形債務の履行場所とし、同時にその銀行をして出納事務をも担当させる趣旨と解すべきであつて、満期前においては、右支払場所ないし支払担当者の表示に満期の場合と同様な意義を認めうる適確な根拠がないから、満期前の遡求原因ある場合において振出人に手形債務の履行を求むべき場所は、商法第五一六条所定の原則により、振出人の営業所又は住所と解すべきである。(藤野博雄)